距離をデザインした家。-あいまいな領域に住む-
最近、地方の住宅のプロジェクトを増やしているのですが、今回もその計画の一つです。
広大な敷地をもつ今回の住宅は老朽化のために既存住宅を撤去し、新たに新築するという内容でした。
お施主さんの要望は明解で、既存の診療所との統一感と生活動線の工夫を求められました。
そこで、既存建物との統一感と施主の要望から平屋というボリュームが生まれてきました。
敷地周辺を見ても特別景色がよいわけでもなく、その動線的にも視覚的にも水平方向の動きしかない状況において、私たちは、既存の生垣を残し、その少し内側に外皮となる塀をつくりだし、広大な敷地のほとんどを囲むようにしました。
それは、街と家、内と外という領域をあいまいな領域にしようと考えたからです。
このあいまいで、ぼんやりした領域は全体性や大きな秩序がつかみにくい、「距離感」と「関係性」の場になります。
その空間の「距離感」と「関係性」は、よりよい家族のカタチをつくりだすことができると考えました。
家族の営みには一緒に何かをすることと、一人で何かをすることの両方があります。一つの空間に家族がそれぞれの過ごし方を持ち込んで、同じ空間を共有するためには「距離の選択肢の多さ」が大切になるのではないでしょうか。
視覚的に把握される距離と回遊動線による実際の距離の感覚違い、つまり家族の気配を常に感じられる程よい距離感は、家族の営みに思いがけないコミュニケーションをつくりだし、家族のそれぞれが、お互いに無関係な状態ではなく、空間や時間を共有している感触をもつことができると考えています。
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