Bianco Cubo

10層の異なる床レベルからなる12戸の賃貸集合住宅。
敷地は都心近郊の主要駅から徒歩4分という立地で、北側には道路を挟んで古くからある用水路が流れ各所に親水空間が設けられており、しだれ桜が立ち並ぶ心地よい緑道が続いています。与条件から、緑道をいかした住戸配置と専有面積を確保するため共用部をコンパクトにまとめ、立体的な空間構成とする計画が導き出されました。建物中央にコアを配置し、廊下を廃し、共用階段の踊り場を介してアクセスする住戸構成にしました。半階ずれたアプローチによって生まれる余剰0.5層のスペースは、DENやロフトとして住戸内に付与し、立体的で変化に富んだ空間をつくり、住戸面積からは想像できない広がりを体感できるような空間となっています。仕上げには、汎用性とメンテナンス性の優れた素材を使い、賃貸住宅という不特定多数の利用者を永続的に許容できるように配慮しながらも、白に統一した仕上げと、シンプルに納めた細部のディティールにより、飽きのこない普遍的なデザインとなっています。一方、オリジナルのキッチンや床暖房、バス乾燥機などスペックの充実を図り、デザイン性だけでなく快適性や利便性も兼ね備えています。必然から発生する要素を実直に積み上げた白い箱は、堅牢でありながら住み手の創造性を許容できる寛容な器となりました。

撮影 : 上田宏

竣工: 2012年4月竣工
所在: 神奈川県
用途: 共同住宅
構造: RC造
建築面積: 124.02平方メートル
延床面積: 420.86平方メートル
業務: 設計監理